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脳は使えば使うほど溶ける、どんどん溶けるよ!
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「俺が死んだら、墓はつくらないでほしいな」
「縁起でもないこと言わないでよ」
「それでさ、原っぱの上で燃やしてほしい」
「一気に燃え広がって大火事になっちゃうかもね」
「ああ…そうか。それもそうだな」
「一体なんなの?」
「ヒーローの墓なんてあっちゃいけないだろう?」
「どうして?」
「ヒーローは死んじゃいけないんだ。誰かの心にいるうちは永遠に生き続けなきゃいけないものなんだ」
「でもあなたはいつか死ぬ。それは避けられないことでしょ」
「誰かの心で生き続けるんだ。墓があればそれは死の証明だ。誰かの心で生き続ける俺を、その証明が勝手に殺す。なんだってそんなことをする必要がある?」
「それは一種の儀式だもの。大昔から決まっているのよ」
「それにヒーローの墓なんてもの置いといたら、誰かが荒らす」
「憎悪で?」
「悲しくてさ」
「けっこうな推測だわ。完璧すぎていうことない」
「俺が死んだら」
「まだなにか?」
「悲しむ人が何人いるかと思って」
「………」
「憎悪とかってのもあるさ、勿論」
「………」
「でも、そういうごった返した感情も、そいつが死んだ時にみーんな行き場を失って悲しみに変わるんじゃないかと思う。誰かに対する良くないもの、憎悪、嫌悪、嫉妬、それが大きければ大きいほど、無くなった瞬間にそこがぽっかり穴になっちまうんだ。なんのことはない物理的な話さ」
「………」
「俺は好きでヒーローになって、好きでこの世界を守ってきた。それって人に愛されるためなんだろうか?憎まれるため?なんだっていいんだ。誰かの心に生きてなんらかの的になるためなんだ。敬うんでも、当て馬にするんでも。そういう存在がこの世に必要だって、ある時気がついた。何が良くて何が悪いを判別するのが俺の仕事じゃない。人の心に生きて、そいつの中でなんらかの形の的になり続けることなんだ。それが暗に人を救うってことで、それはとりわけーー」
「現代に求められてる大きな存在ってわけ」
「そのとおり」
「だから墓をつくってほしくないの?」
「ご名答」
「私はどうなるの?あんたの墓を作らないって世界中から疎まれなくちゃいけないわけ?」
「そのために俺はこうして慣れないスピーチをしたんだぜ」
「用意周到で結構ですこと。さすがはヒーローだわ」
「忘れるなよ」
「忘れないわよ。ずっとずっと。永遠に。きっと知らずのうちにそうやってヒーローからヒーローへ、受け継がれてきた意志なんでしょうからね」
「え?」
「あなた今まで、ヒーローの墓を見たことがあるの?」
「……そういえば、そうだな」


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<ささやかな冒険記録>


11 セーター、シャツ、ジーンズ、靴下


ロープウェイがゆっくりと崖をまたぎ、光の溢れる向こう側へ少しずつ歩み始め、私はようやく自分が逃げることに成功したと実感した。


<ささやかな冒険記録>


10 ロープウェイ

明らかに方角が変化したのがわかった。左手側が崖っぷちになったのだ。
<ささやかな冒険記録>


9 右へ


全速力で小道を抜けて足を止めた。


<ささやかな冒険記録>


8 脱走


外の風は冷たかった。

脳の持ち主
HN:
M.O.
性別:
女性
自己紹介:
妄想癖がっ!治りません。
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